脱出可能枠は一つだけ
「このこと、公表するつもりじゃなかったけど」

いつもはパワフルなのに、なぜか冷たい眼差しでスマホの画面を見つめる咲に、恐怖を覚える

何をしてるんだろう?

「これ、みて」

咲が、スマホの画面をみんなに見えるように見せた

「咲・・・・・・?」

愛佳が不思議そうに咲を見ている

「おい、これって・・・・・・」

「まずいんじゃない?」

あたしも、それを見てみたい衝動に駆られて、回り込んで見てみた

そこには、言い逃れのできない、決定的な証拠が写っていた

それは、愛佳がかなり着飾って、キャバクラの建物へ入っていく写真

しかも、若そうな男性と腕を絡めている

「バイト・・・・・・?」

「え?」

愛佳は間抜けな声を出し、そして一瞬で顔が真っ青になった

「ちょ・・・・・・っと!」

鬼の形相で愛佳は咲に近づく

「言わないでって言ったじゃない!」

「そうじゃないよ。バイトしてたのはアンタじゃん。あたしは、それを見て、ダメだと思ったからこうしてるだけ。非があるのは愛佳、アンタだよ」

キッパリと言い切った咲

いつもの咲じゃないよ・・・・・・っ

咲は、ムードメーカーで、パワフルで、こんなことする子じゃない!

「人ってね、自分が一番大事なのよ」

「美月・・・・・・」

すっと、美月があたしの横にきた。そして、あたしにしか聞こえない声で言う

「自分が助かるためなら、例え人を陥れようが何でもするの。それが人間に与えられた宿命」

美月・・・・・・

美月、貴女・・・・・・

















何か知ってるの?



















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