脱出可能枠は一つだけ
今までグラウンドにいたので、今度は教室を見て回ることにした

・・・・・・ついでに、放送室も

「校内放送も、校庭とかも、全部放送室から・・・・・・だよね?」

「うん、そのはず。あたし、放送委員だったし」

美結が肯定した。元放送委員の美結が言うならそうなんだろう。

第一、校内と校外で放送場所が違うとか、聞いたことないし

そんなわかりにくい設計をするような人はいないだろう

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

6人の中に沈黙が流れる

廊下や周囲の壁、後方を静かに照らす懐中電灯の明かりを頼りに、あたしたちは教室から最も遠く、グラウンドから最も近い放送室に来た

幸い、道中で鬼に見つかることも追いかけられることもなかった

「・・・・・・明かり、ついてんな」

放送室の前まで来た時、ぽつりと、飛翔が呟く

あたしの学校の放送室は、ドアの上の壁に「放送中」と書かれたランプがある。ほら、手術の時とか、ドラマでよくあるやつ。

あの明かりがついていれば、放送をしている最中ということで、入室する生徒や教師は静かに入らなければならない

で、その明かりが堂々とついているのだ

暗闇なのでさらに目立つ

「・・・・・俺が開けよう」

飛翔がドアのレバーに手をかけた時

「くすくすくす・・・・・・」

女の子の声が聞こえた

鬼・・・・・・?!

声を察知した飛翔はすぐさま手を離し、辺りを警戒する

が、女の子の姿はおろか人の気配さえしない

「気のせいか・・・・・・」

「みたい、だね」

聖歌もほっと息をつく
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