脱出可能枠は一つだけ
「え?・・・・・・おわっ」

あたしたちの近くの席にいる、華ちゃんが読んでいた本が落ちた

いや、正確には落ちてしまった。手が滑った・・・・・・という方が正しいかもしれない

「・・・・・・ねぇ、小野さん。それって、本当?」

震える声で、聖歌に問う

「え、うん。そうだよ」

優しくにっこりと笑いながら答える聖歌。でも、華ちゃんの震えは体から離れなかった

どうしたんだろ?

流石に異変に気づいた美月が「体調、悪い?」と聞くが、華ちゃんはふるふると首を横に振った

「そのゲーム・・・・・・やめたほうがいいよ」

それだけ言って、華ちゃんは本を拾い上げ、また読書に耽った

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

やめた方がいい?

一体、どういうことだろう・・・・・・?



「なぁ!これクラス全員でやろうぜ!」

朝礼が終わり、先生が出ていったタイミングで智也が叫んだ

どうやら、ゲームを持ってきたというのは本当らしい

「おいおい、なんだよそのゲーム?」

智也と仲のいい棗が聞いた

「カミサマ鬼ごっこっつーんだ。なんでも、夜の0時からそのクラスの全員で参加しろっていうんだよ。しかも、その舞台は教室で、大人はいちゃダメだと」

「なんだよそれ。危ねぇじゃん」

「だろ?でもよ、深夜の学校にクラス全員ってのも、面白そうじゃね?」

大いに賛成だよ、智也

「はいはーい!あたしやりたーい」

バッと勢いよく手を挙げたのは、咲

クラス一のパワフル少女

「お、乗り気だな清水。全員でしよーぜ!」

「俺もやる!」

「あたしもしたい!」

「ぼ、僕もしたいなぁ・・・・・・」

このゲームに参加したいという生徒が多数いて、その流れに流されるクラスメイトは大勢いる

もちろん、あたしは流される方。後者だ
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