脱出可能枠は一つだけ




愛佳も落ち着いてきた頃

放送が流れた

『お疲れ様です。これより、最終ゲームを始めます』

「最終ゲーム・・・・・・?」

拓海が顔をしかめる

まだ、ゲームがあるって言うの?

『このゲームでは・・・・・・今から三十分間、鬼から逃げれた人が生き残ります』

三十分・・・・・・

『鬼の人数は五名。捕まえた時点で確保者とともに転送し、消失します』

ふむふむ

でも・・・・・・このゲームが最終ということは

このゲームで、全て決まる

誰が生き残るかも

誰が捕まるのかも

誰がカミサマであるのかも、わかるかもしれない

『行動範囲は・・・・・・この体育館と、グラウンドのみに限ります。それでは、ゲーム、スタート』

そう、スピーカーから流れた瞬間

ひゅん、ひゅんひゅん

次々に、ステージに五人の鬼が現れた

男の子と女の子がいる

「「「「「みーつけた!」」」」」

そして、ステージから軽やかに降りると

あたし達に向かってきた

「逃げろ!」

拓海が叫び、一番近い、校舎側のガラス張りのドアを開けた

あたしたちも、一斉に外に出て、グラウンドに向かう

もう、懐中電灯は投げ捨てた。邪魔なだけだもん

砂を踏みしめ、蹴りあげ、走る

聖歌と手を繋ぐ余裕はなかった

だけど、無理でもあたしは、聖歌と手を繋ぐべきだったんだ

「きゃああああ!」

突然、あたしの背後で悲鳴が聞こえた

誰がなんて、知れてる

この声は、紛れもなく・・・・・・

「聖歌ぁ!」

振り返り、手を伸ばす

見えたのは、聖歌と

その後ろにいる、女の子だった

猛スピードで掛けてくる女の子に、今更手を伸ばしても、聖歌に届くはずがない

そして、ついに───
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