脱出可能枠は一つだけ
もろとも、消えていった

「生き残って・・・・・・」

愛佳が連れていかれる直前に言った言葉は

怒りでも、後悔でもない

また、叱責でもなかった

あたしに対する、激励とも取れる言葉

愛佳・・・・・・ほんとにありがとう

「よし」

一息ついて、あたしは

走り出した





「結月!」

「み、美月・・・・・・!」

あたしと美月は、グラウンドの真ん中で再開した

ほんの数十分ぶりなのに、なぜか数年会っていなかったような気がする

残るは、あたしたち二人だけ

どちらかが、生き残り

どちらかが、捕まる

でも、タイムリミットまであと五分しかない

時計は・・・・・・・一時五十五分を指していた
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