脱出可能枠は一つだけ
「嘘じゃないよ・・・・・・カミサマは、次のカミサマへの引き継ぎが終わったら、この世から消えちゃうの」

とても今から消えるとは思えないような、明るい声だった

ねぇ、待ってよ

一人にしないで・・・・・・?

「結月ちゃんが転校した学校のクラスで・・・・・・カミサマ鬼ごっこがまた始まるの。その時に、またパートナーを決めて、結月ちゃんとペアになった人が、次のカミサマ」

だから、ちゃんとその子に引き継ぎしてね?と、華ちゃんは続けた

「でも・・・・・・本当は終わらせて欲しいんだ。だって、こんなゲームは狂ってるから。それでも、幼稚園生の呪いは解けないまま・・・・・・続いていくんだろうね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ああ、そうか

だから、あの子達はあたしに伝えたんだ

"終わらせて"って・・・・・・

でも

「絶対に、あたしが止めるから・・・・・・」

その言葉に、驚いたように目を見開く華ちゃん

華ちゃんは、どうやって止めるのか、どうやって救うのかを聞かず

ただ、優しく頷いただけだった





「それじゃあね、結月ちゃん」

「え?」

「言ったでしょ?私はもう消えちゃう・・・・・・これも、幼稚園生の呪いだよ?鬼として、次のゲームに参加することも無い・・・・・・これでお別れ」

「ちょっ・・・・・・と待ってよ」

「ううん、待てない。私は消えちゃう。だから──────」

そういって、あたしの前にしゃがみ込む華ちゃん

「──────頑張って」

それだけ残し、彼女は

ソーダの泡のように、体を溶かしながら

突然、消えてしまった・・・・・・

「え?は、華ちゃん・・・・・・?」

一人で、呟くように問いかけるが、返事はない

体育館の明かりだけが、そこに灯っていた

「いやだ・・・・・・行かないで」

行かないで・・・・・・あたしを

置いていかないでよ

















そうして

あたしたちのゲームは、幕を閉じたのでした


















< 58 / 65 >

この作品をシェア

pagetop