脱出可能枠は一つだけ

パートナー

「それじゃあ、頑張るのよー。よろしく伝えておいてねー」

「「はーい」」

あたしたちは、家を出た

そこは真っ暗・・・・・・とは言い難い空の色

当たり前だ。六月の上旬の七時前なのだから

今夜は、「友達の家に泊まりに行く」という名目で学校に行くことにしている

もちろん、生徒達で口裏合わせはしていた

まさか、ゲームごときで深夜の学校に女子男子生徒が一緒にいるなんて言えば、親は引き止めるに決まってる

だから、ね

「・・・・・・さっさと行きましょう」

「あ、うん。そーだね」

一度、聖歌の家に寄ってから行くことにした

聖歌は背が小さく、小学生に見られることも少なくない

そんな子が、明るいとはいえ七時前に出歩いていたらおかしい

なので、三人で行くことになった

「意外と近いのよね、聖歌の家と」

「そうだよねー。最近引っ越してきたもんね、聖歌」

「ほとんど近所なのに、転校してきた日は気づかなかったわ」

2人で思い出話をしながら歩いて、聖歌の家に到着した

聖歌の家は、あたしたちの登下校の途中にある、現代的でモダンな家だ

どうやら、お父さんがどっかの社長さんらしく、聖歌は軽く社長令嬢なのだ

うーん、今考えれば凄いこと

なんて思いながら、インターホンを押した

『はい、どちら様?』

「いつもお世話になっています、羽田結月です。聖歌を迎えに来ました」

『あら、結月ちゃん!久しぶりね。ちょっと待ってね、今行かせるから』

元気な、聖歌のお母さんの声がした

そして、しばらくして聖歌が出てきた

「ごめんね、お待たせ」

可愛いリュックサックをかるっている

多分、お泊まり会のカモフラージュだろう。あたし達もしてきている

ま、中身はお菓子だけどね?
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