脱出可能枠は一つだけ



「おはよー」

「おはよー!」

あたしの周りでクラスメイトが挨拶交わす中

あたしは一人、二ヶ月前には少し苦手だったはずの読書をしていた

あたしは、転校してきた時からとっつきにくくて、クラスでも浮いていた

あの事件がなかったら、普通に会話できたんだろうけど

でも・・・・・・あたしが転校してきたことで、ここにいる人たちが、たった一人を除いて地獄の道を歩むことになるんだから・・・・・・

罪悪感に苛まれる二ヶ月

それを終わらせたのは・・・・・・お調子者の朝陽(あさひ)だった

「なあなあ!このゲーム全員でやろうぜ!夜の学校で!」

ああ、これか

デジャヴみたい・・・・・・ううん、そんなんじゃない

本当にあったんだから・・・・・・

「何それ?面白いの?」

中学二年生にして彼氏をもつ───まあ相手は朝陽なんだけど───美羽(みう)が問う

「面白いらしいぜ!噂だとな!」

「おいおい、それ信用出来んのか?」

「できるできる!多分!」

絶対に信用出来ないよ・・・・・・と心の中でツッコミをいれる

ここで華ちゃんは、自分は反対してた

それは、凄く勇気がいるはずだ

でも・・・・・・それは、終わらせたかったから

「いいねぇ!やろうやろう」

と、クラス全員がやる雰囲気になった頃

言わなきゃ・・・・・・言わなきゃ言わなきゃ!

「あ、あたしやらなぃ・・・・・・」

最後の方がすこし声が小さくなってしまった

でも、あたしの隣にいた、唯一声をかけてくれる女の子───美佳がその声に気づいた

「どうしたの、結月ちゃん。でたくないの?」

心配そうにあたしを見てくる美佳
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