脱出可能枠は一つだけ
「ううん、大丈夫。行こ」

三人で横に並びながら、歩く

道中、本当の部活生が自転車で通り過ぎていくのを横目に見ながら、あたしたちはゲームについて語る

「面白そうなゲームを持ってきたね」

「うん。そんな情報どこから入るのかな?」

「あいつ、特殊だから」

毒舌要素が入っている美月は、智也を特殊な人間扱いしている

そうこうしているうちに学校に着いた

日はまだ明るく、学校のグラウンドは部活生で賑わっていた

さて、ここからどうするか・・・・・・については、もちろん作戦がある

「忘れ物を取りに来た作戦、実行!」

「おー!」

「おー・・・・・・」

ノリのいい聖歌と、いつまでもクールな美月の温度差はさておき

あたしたちは「忘れ物を取りに来た」という言い訳を使って校舎内に侵入する

深夜の学校、ということもあって、当然警備員さんもいるだろう

しかしながら、学校の警備はとあるクラスメイトのお父さんが担当している

なんという凄いクラスなんだろう!

そして、その見回りにくる時間帯をおおよそ把握しておけば大丈夫なのだ

そして、問題は────

教室の鍵

校門から、あたし達のクラスは見える

「誰もいないね」

「だねー!」

「なら、尚更都合がいい。目撃者が少なくて。言い訳しやすい」

「よし、行こう」

堂々と校門を抜け、生徒玄関で靴を脱ぎ、袋の中に入れてリュックサックに入れる

お菓子、割れたりしないかなあ?

そこから教員室までいき、鍵をとる

「失礼します」

学校でも頭が良く、優等生の美月が中に入った
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