Home * Love 〜始まりは、キス〜
━━━ 貴也 目線 ━━━
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いつもの朝の幼稚園。
茶髪のふわふわパーマ。
小さくて、細い体。
その両手には更にちっちゃな
子供の手。
今日も、来た・・・
自然と笑みが溢れる。
だけど、今日の様子はなんか、おかしい。
おぼつかない足元。
アノコ、大丈夫?
「おはよ…ございます…」
幼稚園に到着した鈴は
力なく、挨拶をした。
「「センセ、おはよっ!」」
「おはよう。」
たろと多実にも挨拶をし。
って…
おい、鈴…本当に平気か?
青白い顔に、うつろな目。
「大丈夫?体調悪いの?」
「ぜ…全然大丈夫です…!気にしないで下さい…
今日もよろしくお願いします…」
「………ああ。無理すんなよ?」
鈴ちゃんはコクリと小さく頷いた。
「あ、鈴!今日は貴也センセと一緒に帰るから!」
そんなたろうの言葉に驚き、思わず二度見。
「いいから、いいから♪
今日は一緒に帰りましょ?」
多実も、俺の袖を掴み、満面の笑み。
「2人とも…ダメだよ迷惑かけちゃ…」
鈴…本当にしんどそう…
「俺の事は気にすんな。それより、体調悪いんだろ?家でゆっくり寝てろな?」
俺は彼女の頭と額に手をのせる。
熱はなさそうだ………
「はい…ありがとうございます。では…」
身震いをする彼女。
寒いのか・・・?
そして、幼稚園を後にしようと、俺に背を向ける…
どんどん遠くなっていく鈴の姿に。
何故か、寂しくなり、不安になった━━━
このまま、遠くに行ってしまう
気がしたんだ。
バカだな、俺。