Home * Love 〜始まりは、キス〜

━━━ 貴也 目線 ━━━




*****


いつもの朝の幼稚園。


茶髪のふわふわパーマ。
小さくて、細い体。
その両手には更にちっちゃな
子供の手。


今日も、来た・・・

自然と笑みが溢れる。


だけど、今日の様子はなんか、おかしい。

おぼつかない足元。

アノコ、大丈夫?





「おはよ…ございます…」

幼稚園に到着した鈴は
力なく、挨拶をした。



「「センセ、おはよっ!」」

「おはよう。」


たろと多実にも挨拶をし。

って…
おい、鈴…本当に平気か?

青白い顔に、うつろな目。



「大丈夫?体調悪いの?」

「ぜ…全然大丈夫です…!気にしないで下さい…
今日もよろしくお願いします…」



「………ああ。無理すんなよ?」


鈴ちゃんはコクリと小さく頷いた。


「あ、鈴!今日は貴也センセと一緒に帰るから!」


そんなたろうの言葉に驚き、思わず二度見。


「いいから、いいから♪
今日は一緒に帰りましょ?」

多実も、俺の袖を掴み、満面の笑み。




「2人とも…ダメだよ迷惑かけちゃ…」


鈴…本当にしんどそう…


「俺の事は気にすんな。それより、体調悪いんだろ?家でゆっくり寝てろな?」

俺は彼女の頭と額に手をのせる。

熱はなさそうだ………



「はい…ありがとうございます。では…」


身震いをする彼女。

寒いのか・・・?





そして、幼稚園を後にしようと、俺に背を向ける…



どんどん遠くなっていく鈴の姿に。

何故か、寂しくなり、不安になった━━━



このまま、遠くに行ってしまう
気がしたんだ。


バカだな、俺。



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