Home * Love 〜始まりは、キス〜
さまざまな声や物音で
賑やかな教室。
「俺と一緒に帰るってどういう事だ?」
俺は、2人を教室の隅に呼び出し聞いてみる。
「………今日は何の日か知らねぇのか?」
今日・・・?
9月10日?
「センセって…記念日とか忘れて
彼女にフラれるタイプ?
今日は鈴ちゃんの誕生日よ?」
多実の言葉に思わず
転けそうになった。
今時の女の子は幼稚園生でも侮れない・・・
とりあえず、
ここは大人の言葉で返すか。
「今まで…彼女にフラれた覚えはないよ?
今日は鈴の誕生日なんだね。」
なるほど。
今日は鈴ちゃんの誕生日か━━…
「だからね、センセ―――?」
ゴニョゴニョ………
多実が俺の耳元で話す。
その話に
フッ………と
笑みが零れてしまった。
━━━━姉ちゃん想いなんだな。
良い兄弟、持ったな。
俺は無性に嬉しくなった。
「今日の日直さ〜んはぁ〜?」
「好き同士!」
「ば…バカな事言ってるんじゃねぇ!」
「たろ君、私は嬉しいよ?」
耐える事のない笑い声の中、
いつものように
幼稚園の生活が始まった。