Home * Love 〜始まりは、キス〜



*****


「どうして剥がしたんだよ、もう一回貼るから…来て。」

梅田さんは手でソファーをポンポン叩き、
こっちに来るように促す。

梅田さんの手には冷却シートが1枚。


「着替える時にとれちゃって…」


「ダメだよ、ちゃんと貼ってなきゃ。ほら、髪あげて。」

私は指示通りに前髪をあげる。

は、恥ずかしい・・・

私はぎゅぅぅぅっと目を瞑った。

「貼るよ?冷たいけど我慢ね。」


次の瞬間。

額にとても冷たい感覚。


「ひゃ………」


冷たさが頭のてっぺんまで突き抜けるような

そんな冷たさだった。



「はい、風邪っぴきさんはおやすみタイムだよ。
おやすみなさい。」



「え、まだ夕方だよ?」


「早く寝なきゃよくならないだろ。」



「寝なきゃダメだぞ、鈴。」

「そうよ、おやすみ鈴ちゃん。」


たろちゃんと多実ちゃんまで・・・


「でも…………」


今日は、

今日はお誕生日なのにな。

別にいいんだけど………


たろちゃんと多実ちゃん。

一言くらい何か言ってくれれば
嬉しいんだけど、な。




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