Home * Love 〜始まりは、キス〜
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「本当にッありえないよ!奴は!」
バンッ………!
私は冷蔵庫の扉を思いっきり閉めた。
―――只今、午後の2時、バイト中でございます。
お昼のピークも過ぎ、丁度一段落してきた所でして。
食材補充中。
「あのキス男と何かあったの〜?」
愛梨ちゃんは隣でピザソースを作りながら、不思議そうに私に聞いてきた。
愛梨ちゃんには
梅田さんとの出来事も…
昨日の夜、電話で全て話した━━
彼女がいるらしい事も。
キスされた事も。
「あの男は本当に最悪な男だよ!愛梨!
さっき、奴とコンビニで会ったんだけどさ?」
「会って、どうなったの?」
一瞬、ソースを作る手の動きが止まる愛梨。
「………ハ…はめられた。」
「へ?」
「私が大きい声出したらね…気付かないうちにギャラリーが集まっちゃってて。
キスの事言おうとしたけど、言えなかったんだよ。
そしたら私を嘲笑うかのように“バーカ”って……」
今思いだしたら
凄い悔しくなって。
視界がボヤける。
「もう…お隣さんとやってけないよ。」
私の言葉に愛梨は、
ただ頷いて聞いているだけだった。
「でも―――」