Home * Love 〜始まりは、キス〜
ピチピチピチ…………
雀の鳴き声が聞こえ始めた、早朝。
玄関の方から聞こえてきた
足を引きずっているような、重い足音。
その足音は、私の部屋を通りすぎた━━━…
梅田さん、帰ってきたんだ…
バタン…………
ドアが閉まる音が響き、
そこから梅田さんの足取りは
パタンと消えた。
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“
くまさんに会えなくて
悲しんでいるお姫さま。
そんなお姫様に
お月さまは言った。
『あなたの願いを1つだけ、聞いて差し上げましょう。
もしかしたら、叶うかもしれませんよ?
あなたの
本当に叶えたい願い事は何ですか?』
『くまさんに会いたいよ…』
お姫様は言った。
『分かりました…、
叶うといいですね。
良いことを教えましょう。
その方と願い事が一緒でしたら、
その夢を叶える事が出来るのです…』
お月さまは悲しそう表情を浮かべた。
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多実ちゃんの手元で開かれていた
絵本にはこんな事が書いてあった。
それから暫くして━━━━…
ゴン…………
低い物音が私の背中に伝わる。
━━━━━梅田さん?
いるの?
また、溢れ落ちる涙。
梅田さをを想うと
涙が出てくるよ…