Home * Love 〜始まりは、キス〜
由夏さんの想いが私の胸に突き刺さる。
だけど、彼女の痛みは
私の痛み、苦しみとは、
比べ物にならないくらいに
痛いんじゃないかって思う…
「由夏さん…ごめんなさい………私………」
震えが止まらない体。
「鈴子ちゃん、そんな顔しないで?
私、ちゃんと貴也さんとお別れ出来て、
前に進める所なの。
これは良いことなんだから。
一緒に前に進みましょ?ゆっくり…ね?
少しだけタイミングが悪かっただけだから。
鈴子ちゃんなら、これからきちんと貴也さんと向き合えると思うわ。」
鼻をすすりながら言う由夏さん。
私はこの言葉に声を上げて泣いた。
彼女はホッとしたように、短いため息をつき
私を優しく抱き寄せる。
好い人すぎるのは、由夏さんだよ…
━━━正直、今は梅田さんと向き合える気がしない。
でも、きっといつか、
また梅田さんに恋出来る日が来るといい。
そんな事を思った。
そして、改めてフランス行きを決意した私。
ピーンポーン………
部屋のチャイムがなる。
その瞬間にたろちゃんと多美ちゃんは
勢いよく寝室から出て玄関へと走っていった。
私はそんな2人を目で追う。
「うふっ。可愛いご兄弟ね。
誰が来たのかしら………」