Home * Love 〜始まりは、キス〜
「…お父さん達、先行ってて?」
「早く来なさいよ………?」
「分かってる………」
別れる前にもう一度。
梅田さんと2人きりで話したい。
梅田のキモチをもう一度聞かせて………?
私は振り返り、梅田さんの元へと駆け寄った。
その時だった。
「貴也センセ、ありがとう!またな!」
「またねっ!」
遠くからたろちゃんと多実ちゃんの声。
梅田さんは右手で大きく手を振り答えた。
私の両親も梅田さんに軽く頭を下げていて、
彼は慌てて綺麗にお辞儀をする。
「やっぱ家族で一緒にいる事はいいことだな。
こんなにも笑顔が溢れている。」
梅田さんの言葉に
小さな声で「………うん」
と呟く私。
「じゃぁ、行ってこいよ。」
と私の両肩を掴み、後ろを向かせた梅田さん。
───ダメだな、私。
また梅田さんに甘えようとしていた………
強くならないと、ね。
私の肩を持つ彼の手は
前へと力が加わり、
私は自然と一歩を踏み出そうと
………した。