Home * Love 〜始まりは、キス〜
―――そして、夜。
事件は起ころうとしてした。
時刻は夜の7時40分。
今日は日曜日の夜だってのに、オーダーの電話はほとんど、ない。
かなり珍しい。
こんな暇な日曜日は初めてかもしれない。
トラブルもなくて、
平穏な店内で聞こえるのは、
ガシャン…ジャーーー
洗い物を洗う洗浄器の音と、
裏の方から聞こえる
バイトのドライバーさん同士の低い話し声と笑い声。
『愛梨ちゃん…私、今日は配達じゃなくてもいいんじゃないかなって思うんだけど……?』
『そうよね〜。今日は激しく暇だもんね。鈴、配達じゃなくても大丈夫かもね。
あ。でも……次の配達の予約、鈴になってるよ?』
と言って、
愛梨ちゃんはパソコンを指さした。
私はコクリと頷く。
「配達場所、近くて、分かりやすい所がいいなぁ〜」
小さい声で呟いた。
―――その時だった。
プルルルル………
1本の電話が鳴った。
―――それから
この電話をキッカケに、
ビザトマトのオーダーの電話は鳴り続けた。
正に、さっきまでのは…
嵐の前の静けさだった。
いろいろな意味を含めて。