Home * Love 〜始まりは、キス〜
その愛しい声に私の顔、全身が
瞬間的にカッと熱くなった。
「………梅田さん………」
み、見ないで下さい〜〜〜
と思ったのもつかの間。
「………久しぶり。
仕事中なんだろ?早く戻れよ?」
その優しい声に───
私の血はドクン、ドクンって…
急いで全身を駆け巡る。
「は、はい。」
梅田さんは大人だ。
私はこんなにも動揺しているのに。
「今日、何時に終わるの?」
「じゅ…10時の………予定」
「そか。じゃあ、待ってるから…
終わったらここに来いよ。」
「え?」
この時。
俯いていた顔を上げた私は。
やっと、梅田さんをちゃんと見る事が出来たんだ。
あたたかいオレンジ色の
照明に照らされた梅田さんは
3ヶ月前より、
ずっと大人びて素敵に見えた。
見惚れてしまうほど
目が離せなくなって。
愛しさが込み上げてきた・・・・
「そうよ、鈴ちゃんも一緒に盛り上がりましょう?
今日は、
幼稚園ほし組のプチ新年会なの。」
まりなちゃんママの声に
私は36番テーブルを見渡した。
幼稚園のプチ新年会、か・・・・
「行けたらいいんですけど…
10時に終わるかどうか…」
「大丈夫よ。ずっと待ってるから♪」
「は、はぁ…」
────その時。
チリーン、チリーン
厨房から聞こえてきた
商品を出来上がった時のベルが
何度も響き渡って…
早く行かなきゃっ!
「そ、それでは失礼致しますねっ
今、行きます〜〜〜」
そのままバイトに戻った私。
只今の時刻。夜の9時。
“あと1時間、頑張ろう…”
そんな事を思って、
『はちべえ』内を
目まぐるしく動き回ったのでした。