Home * Love 〜始まりは、キス〜
一気に忙しくなっていく店内。
電話は鳴り続け、伝票が連なる。
みんな忙しく動き回ってる中、
私は壁に貼ってある巨大地図の前で1人、落胆していた。
この状況を、誰にも言えない悲しさったら……ない。
パチン…
マグネットを配達場所に置いてため息をついた。
「…ため息つきたくなるよなぁ。一気に混み始めるんだから。」
私の隣で、ピザトマト歴10年の大ベテラン田宮さんが微笑みながら言う。
「………全くです。」
「コレだから、日本代表の試合がある時は大変だ…
ハーフタイムの時にみんな注文するからな。頑張ろうぜ?」
ピザトマトで1番カッコイイ…
田宮さんのキラキラとした笑顔だけが、私の救いだった―――
私…梅田さんと戦います!
私は決意を新たにする。
「田宮さん…」
「ん?」
「私が配達から帰ってきたら誉めて下さい!」
「わ……わかった。今日の時原、何か、変だな。」
田宮さんは地図を指で辿りながら、不思議そうな顔をしていた。
「莓町中央出来上がりましたー」
―――梅田さんのピザが出来上がったみたいだ。
いざっ、戦いの始まり!
「安全運転笑顔で行ってきま〜す」
この時、
愛梨が私にガッツポーズをしてくれたんだ。
ちょっとだけ頬が緩んだ。