Home * Love 〜始まりは、キス〜





一気に忙しくなっていく店内。

電話は鳴り続け、伝票が連なる。

みんな忙しく動き回ってる中、

私は壁に貼ってある巨大地図の前で1人、落胆していた。

この状況を、誰にも言えない悲しさったら……ない。

パチン…

マグネットを配達場所に置いてため息をついた。


「…ため息つきたくなるよなぁ。一気に混み始めるんだから。」

私の隣で、ピザトマト歴10年の大ベテラン田宮さんが微笑みながら言う。


「………全くです。」


「コレだから、日本代表の試合がある時は大変だ…
ハーフタイムの時にみんな注文するからな。頑張ろうぜ?」

ピザトマトで1番カッコイイ…
田宮さんのキラキラとした笑顔だけが、私の救いだった―――




私…梅田さんと戦います!
私は決意を新たにする。


「田宮さん…」

「ん?」


「私が配達から帰ってきたら誉めて下さい!」



「わ……わかった。今日の時原、何か、変だな。」


田宮さんは地図を指で辿りながら、不思議そうな顔をしていた。



「莓町中央出来上がりましたー」



―――梅田さんのピザが出来上がったみたいだ。


いざっ、戦いの始まり!


「安全運転笑顔で行ってきま〜す」

この時、
愛梨が私にガッツポーズをしてくれたんだ。


ちょっとだけ頬が緩んだ。


< 30 / 323 >

この作品をシェア

pagetop