Home * Love 〜始まりは、キス〜






「…びっくりした。また、アンタか………。」


何その言い方…!?
やっぱり、この人苦手だ。



「ぐ…偶然って恐ろしいですねぇ。ハハッ。
ちなみに名前は時原と言います。覚えて下さいね?
お先に商品よろしいですか?」

私はピザトマトマニュアルに沿った丁寧な接客と営業スマイルを必死で保とうとする。

たぶん、口元はひきつっていると思う。


「ああ。」


「お熱いので気をつけて下さいませ。」

私は梅田さんにMサイズのピザとポテトを渡す。


はやくこの場所から立ち去りたい。
これが、率直な今の私の気持ち。


「お会計が2180円でございます。」


「二千…と180円な。」

「丁度お預かり致します。ありがとうございました!」

と、頭を下げた時、あるものが目に入った━━━…



「ありがとう、時原さん。」

この言葉にドキッと心臓が反応した。




だけど、それより気になるのは……

目に入ってしまった
大量のカップ麺の容器が入ったゴミ袋だった。



引っ越ししてから毎日こんなの食べてるの?


「あ…あの………」



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