Home * Love 〜始まりは、キス〜





切なげに


『―――私、もう行かないと。』


と、重たそうなキャリーケースを
ガラガラ……と引きながら俺の先を行ってしまう。



『ああ、………頑張れよ』

俺の言葉に由夏は、ちらっと振り返り―――

最高級の笑顔で言ったんだ。

『あなたもねっ………』



―――人混みの中。
俺は小さくなっていく彼女の後ろ姿をずっと見ていたのだが。



『由夏………っ!』


この日は………
呼び止めずにはいられなかったんだ。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


テレビの前のソファーに座りながら…
ピザと筑前煮を交互に見る俺。

あの時原って女は……
なんか苦手なんだ。

何故だかわからないけど。

きっと、あの夜にバッタリ会ってしまったからだな━━━

と、俺はピザを一口かぶり付きながら時原と会った夜の事を思い起こす。







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