Home * Love 〜始まりは、キス〜




梅田さんに
右手首を力強く掴まれた私は。

身動きがとれなくて。




「砂場で取れる砂鉄みたいだな。」

それから
耳元で、そう呟いた。



「はい?」

心臓が鼓動が早くなる。
トキメキとかじゃ、なくて。



「いつも俺の前に現れやがって。」


何…コイツ…
やっぱりムカツクんですけど。

「私だってねぇ………!」


私が意見しようとした
その時━━━


「あっ!」

たろちゃんが
梅田さんを指差し、声を上げた。



「あ!おっはよう♪太郎!」

彼はとびっきりのスマイルで
たろちゃんの頭を撫でた。


何?
この扱いの違いは。


私は奴をキッと睨む━━━


すると、

「時原さん。おはようございます。」


女の人の優しい声がした。



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