御曹司くんに再会したら溺愛されました
係長がお茶目に片目をつぶってみせる。
その向こうで、課長は苦虫を噛み潰したような憮然とした表情でこちらを見ている。
私は課長は見なかったふりをして、係長に言った。
「結婚なんて、考えてませんよ。
私はまだまだここにいますから、邪魔に
しないでくださいね。」
そんな立ち話をして、席に戻ると、隣の席の晴生の機嫌が悪い。
でも、仕事中だ。
18時。
仕事を終えて、帰ろうとすると、隣の企画課から、宇野係長が来た。
「野原さん、もう帰るとこ?」
「はい。
何かありましたか?」
宇野係長は、私より2つ年上の32歳。
少し垂れ目がちの優しい上司だ。
「いや、何というわけじゃないんだけど、
金曜だし、みんなで飲みに行かないかと
思って。」