御曹司くんに再会したら溺愛されました

忘年会でも、歓送迎会でもないのに、飲みに誘われるのは、何年ぶりだろう?

20代後半に入ってからは、全く誘われなくなった気がする。

やっぱりどうせ一緒に飲むなら、若い子の方がいいもの。

今日はきっと、晴生を誘いたくて、私にも声を掛けたのよね。

誰だって、次期社長とは繋がりを持っておきたいもの。


みんなで連れ立って、居酒屋に入ると、晴生は企画課の女子社員に囲まれてしまった。

私は、普段、あまり話した事もない人たちの中で身の置き所がなくて、困った。

「野原さん。」

呼ばれて振り返ると、宇野係長が手招きをしている。

「ここ、どうぞ。」

隣の席を指差した。

「…ありがとうございます。」


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