御曹司くんに再会したら溺愛されました
それから、私はたくさん悩んで、さよならする事を決めた。
水曜日、辛い気持ちを押し殺して、係長に言った。
「別れてください。」
係長は目を見開いて、
「なんで?」
と聞いた。
「係長、奥様いらっしゃるんですよね?
お子さんもお生まれになるって…。
私は、知らなくて、申し訳ない事しました…」
私が涙を堪えながら、声を震わせて言うと、係長は、私を抱き寄せて言った。
「黙ってたのは俺だ。
悪いのは分かってたけど、里奈が
かわいすぎて、里奈の事を好きになりすぎて、
自分を抑えられなかった。
今も、里奈の言う通りにした方がいい事は
分かってる。
でも、俺には里奈と離れる事なんてできない。
別れるなんて言わないでくれ。」
彼の言葉に私は決心が揺らぐ。
「でも、このままでは、奥様を傷つけて
しまいます。」
「大丈夫。俺が何とかする。
だから、このまま里奈といさせて
くれないか?」
私は、結局、彼にほだされてしまい、心に引っ掛かるものがありながら、関係を断つ事が出来なかった。