御曹司くんに再会したら溺愛されました

それから、私はたくさん悩んで、さよならする事を決めた。

水曜日、辛い気持ちを押し殺して、係長に言った。

「別れてください。」

係長は目を見開いて、

「なんで?」

と聞いた。

「係長、奥様いらっしゃるんですよね?
お子さんもお生まれになるって…。
私は、知らなくて、申し訳ない事しました…」

私が涙を堪えながら、声を震わせて言うと、係長は、私を抱き寄せて言った。

「黙ってたのは俺だ。
悪いのは分かってたけど、里奈が
かわいすぎて、里奈の事を好きになりすぎて、
自分を抑えられなかった。
今も、里奈の言う通りにした方がいい事は
分かってる。
でも、俺には里奈と離れる事なんてできない。
別れるなんて言わないでくれ。」

彼の言葉に私は決心が揺らぐ。

「でも、このままでは、奥様を傷つけて
しまいます。」

「大丈夫。俺が何とかする。
だから、このまま里奈といさせて
くれないか?」

私は、結局、彼にほだされてしまい、心に引っ掛かるものがありながら、関係を断つ事が出来なかった。

< 14 / 183 >

この作品をシェア

pagetop