御曹司くんに再会したら溺愛されました

応援合戦では、赤が勝ったが、総合優勝は10点差で白が勝った。

その日、片付けが全て終了した後、私は教室に次の日の授業で使う資料を忘れている事に気付き、取りに行った。

教室に入ると、高岡晴生が机に突っ伏して肩を震わせていた。

私は見ていないフリをして引き返そうかとも思ったが、今日1日がんばった彼を無視できなくて、隣の席に座った。

そして、彼の頭を撫でながら、言った。

「晴生くん、お疲れ様。
今日1日、よくがんばったね。
カッコよかったよ。
悔しい思いもしたかもしれないけど、一生
忘れられない体育祭になったんじゃない?
少なくとも、私は一生、晴生くんのがんばりは
忘れないと思う。」

私が、彼の頭から手を離して立ち上がろうとすると、彼は、目を真っ赤に泣きはらした顔を上げた。

「里奈先生、ありがと。」

隣のクラスの担任が野原先生だったため、私は下の名前で呼ばれていた。

「ううん。
こちらこそ、ありがとう。
こんなに感動したの、久しぶりだったよ。」

私が微笑むと、彼も花が咲くように顔を綻ばせた。

「里奈先生に喜んでもらえたなら、それで
いい事にする。
俺、顔、洗ってくるね。」

彼は、そう言って、教室を出て行った。

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