御曹司くんに再会したら溺愛されました
私が好きなのは
4月3日 水曜日。
「里奈さん、ノー残業デーですよ。
帰り、食事に行きましょうよ。」
イケメンの御曹司くんが、毎日、あまりにも公然と私を誘ってくるものだから、周りの女子社員たちの視線がとても痛い。
彼が異動してくる噂を聞いた時から、彼を巡って、若い女子社員たちは、戦々恐々としていたのに、蓋を開けてみたら、想定外のおばさんに持っていかれて、納得できずにいるのだ。
そんなの、私のせいじゃないのに。
「行きません。」
「えぇ〜、なんでですか?」
「今日は予定がありますから。」
「デートですか?」
「………
違います。」
「よかった。
じゃあ、明日でいいです。
楽しみにしてますね。」
晴生くんは、私の返事を待たずに行ってしまう。
これじゃ、明日、約束したみたいじゃない…