御曹司くんに再会したら溺愛されました
晴生くんが連れてきてくれたのは、とある公園。
「ここ?」
と私が聞くと、
「うん。
お花見したかったんだよね。」
と晴生くん。
だけど、今年は開花が早くて、先週末の雨でほとんど散ってしまったはず。
「もう、咲いてないんじゃない?」
私がそう言うと、
「うん。ソメイヨシノはね。
でも、ここは枝垂れ桜が多いから、きっと
まだ咲いてますよ。」
そう言って、晴生くんは微笑んだ。
「さ、里奈さん、行きましょ?」
晴生くんは、私の手を取って歩き出す。
楽しそうな晴生くんの顔を見てると、手を振りほどく事も出来ず、そのまま繋いで歩いた。
10年前、私の前で泣く小さな子供だった晴生くんは、今では、大きな手で私を引っ張ってくれる大人になったんだ。