ず っ と 。



「ありがとうございました」


その後すぐに熱が下がり、特に問題も見受けられなかった初花ちゃんは無事に退院が決まった

こんなにも退院を伝えるのが億劫なことは今までに無かった


「念の為に4日分の薬は処方してあるから忘れずに飲んでね。何かあったらいつでもまた来てください」


「分かりました、ありがとうございます」


引きつった笑顔と少し震えている手を見て心が締め付けられる

出来ることならこのままここに居させてあげたかったけどそうする訳にもいかない



「じゃあ、体に気をつけてね、元気に過ごすんだよ」


「はい」


ペコッとお辞儀をしてタクシーに乗り込んだ初花ちゃん

タクシーはすぐに走り去っていってしまった




「これで良かったのかな」

ボソッとそう呟くと

「仕方ないよ、初花ちゃんからのヘルプを待つしかない」


と佑真に肩をトンと叩かれた





< 54 / 80 >

この作品をシェア

pagetop