ず っ と 。
病室から少し離れたとこにある長椅子に腰掛ける
初花ちゃん、話してくれるだろうか
まあ、所詮ただの医者と患者
関わっている時間はものすごく短いし、そんな人達に自分の隠してきた本音を話すなんて難しいだろう
ましてや、初花ちゃんにとったら大人はみんな敵かもしれない
色々考えながら持っていた資料を捲ること数分
院内用のPHSが鳴った
「はい」
「あ、蒼介?ごめん初花ちゃん発作」
急いで病室に戻ると、ベッドの上で体を丸めて小刻みに震える初花ちゃんと、背中をさする佑真
「大丈夫、大丈夫、薬打とうね」
すでに注射痕がいくつもある腕にまたひとつ傷を増やす
「ん、たい…ッ!」
「もうすぐで痛くなくなるからね、ごめんね」
薬は魔法じゃない
今回の入院から頻繁に発作止めを使うようになったせいで、以前ほど即効性が無くなってしまっている
痛みから逃げたいからか、必死に自分の足を何度も殴る初花ちゃん
唇も噛みすぎて血が滲んでいる
結局収まるのに10分程度の時間を要し、落ち着いた頃にはぐったりと眠ってしまった