ず っ と 。




初花ちゃんが入院して5日目の朝



「おはよう初花ちゃん、調子はどう?」


「……ん」



相変わらず続く高熱によって、自分で食事を摂ることがほとんど無くなった

口数も以前より更に少なくなり、相槌をやっと返す程度



精密検査もしたが、やはり身体に大きな異常はない



「……や、あ」



「ん?」



「ぅ…あ」



天井の一点を見つめて何か口を動かしている



「初花ちゃん?」



「むし、ッ」



もちろん、視線の先に虫なんて居ない


幻覚 か



「虫はいないよ、目瞑って」


「せんせ、いる、虫」


「大丈夫、寝てる間に外に出しておくから」




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