この世界の子守り歌
「どうしてなの…?」
荒れ狂う大地に為す術もなく、ただただ平伏し、
声の主の女性は、激しい雨に叩きつけられていた。
腰下まである美しく長い黒髪に、
透き通るような白い肌。
黄金色の瞳からは、大粒の涙が頬を伝い落ち、雨風がさらってゆく
ー何度も願った
パンドラの底に残った小さな『希望』の光に、
何度何度もしがみついてきた
でもーー
「わたしが望んだのは、こんなんじゃない…!!」
悲痛な叫びが荒れ狂う大地に響く。
ふと女性は顔を上げた
「わたしが…間違ってたの、?」
問いかけは嵐の渦に消えてゆく
「わたしが存在してしまったのが、間違いだったの…?」
そしてもう一度問う。
「ねえ、今わたしが望んでること、あなたなら分かるわよね?アリューゼ。」