神様、どれほど償えば この恋は許されるのでしょうか?

ふわっ……

そのキスに、
冷たく凍えきっていた体が熱を帯びる。

まるで、命を吹き込まれたみたい。


――スキ…大河……


誰よりも、
何よりも、
大好きなひと

叶わなくても、
結ばれなくてもいいから、
一番、幸せになって欲しいひと

こんなにうれしいのに、
せつなく涙が流れる。

舞い上がる風が、二人の吐息を夜空に混ぜながら、
雲を押し流す。

上弦の月が、雲の切れ間に見えては隠れ、隠れては幾度となく姿を現し、
覗き見るように二人を照らす。

不安げに落ちる雲の影を、振り払うかのように、

< 16 / 62 >

この作品をシェア

pagetop