神様、どれほど償えば この恋は許されるのでしょうか?
2章 密心(ヒソカゴコロ)
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キス……
…しちゃった。
ウソ……
なんで?
だって、
だって、あんな急に……
ちがう、
ちがうっ。
急とかじゃなくて。
キス、
されるなんて思ってなかったから…
あんな、
オトナのキス。
かぁぁああっ……
思い出しただけで、体中の血液が頭に集まってきたみたい。
顔が熱くって、ボーっとする。
心臓の音が、耳の奥でザアザアうるさくって、おかしくなりそう。
「も、やだぁ……」
どんな顔して、会ったらいいのかわかんない。
机に突っ伏したまま、
チラリ……
腕の隙間からのぞき見ると、
ちょうど黒板に、なにやら難しい生物学の呪文を書き終えた先生が振り返った。
せ…んせ……
…先生…?
――なんで、大河じゃないの?
――大河…は?…どこ?
白衣姿の先生はこっちを見ない。
ねえ、先生……
どおして、わたしにキスしたの?
どおして?
――大河……
どおして、私にキスしたの?
“好きだよ、梨佳”
そっか、そうだった。
――好き…大河……
…好き……先生……
返事はまだ、
出来ないでいる。
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