神様、どれほど償えば この恋は許されるのでしょうか?
明け方、また夢を見た。
昨日見た夢の続き。
“凪紗”って女の子と“先生”の恋のオハナシ。
「梨佳ー、学校、遅れちゃうわよー」
1階から母親の声がする。
ベッドに横になったまま胸に手を置くと、鼓動が早い。
――なんで…?
ドナーから切り離された心臓は、移植されても、レシピエントの神経とは繋がっていない。
「除神経心」といわれ、心臓に対しての神経系の調節機構は働かない。
そうはいっても、心拍を調節する体の仕組みは他にもあるので、運動をしたときは、普通の人より反応は遅いけれど、きちんと脈拍だって増える。
――でも、寝てただけなのに…?
そう思って、すぐさま考え直す。
夢を見ていた。
「先生……」
ふと、梨佳が口にした瞬間、
ギュウ…
と、心臓を締め付けられるような、切ない胸の痛みを感じる。
――うそ……
ありえない。
神経が繋がっていないのだ。
心臓に痛みを感じることなどありえない
「……大河」
梨佳は無意識に呟いた。