神様、どれほど償えば この恋は許されるのでしょうか?
*★*―――――*★*
“何があったか”は分からないが、
“何かがあった”ことは分かる。
たった1日で、あからさまに二人の距離感が違う。
加奈子はにやけ、高橋は大河をにらんだ。
ホルダー心電図の結果は、特に問題はなし。
「大河…お前、この後少し残れ。話が……」
「何言ってんですか。今から手術の執刀でしょ。あと、5分で来いって、さっきオペ室から催促の電話が入ってましたよ」
加奈子がキッパリと高橋の言葉を遮る。
思い出したように時計を見ると、さすがに高橋も諦めたのか、
「忘れるなよ!いいな!大河!」
と、盛大な捨て台詞を吐いて、迎えに来ていた研修医に怒られながら手術室に連行されていった。
「じゃあ、また来週ね、二人とも」
加奈子は満面の笑顔だ。
大河は苦笑いを浮かべながら、加奈子に軽く会釈すると、梨佳の手を取る。
手をつなぎ、並んで歩く二人の後姿を見送りながら、
加奈子は、大河が梨佳の手を離さない限り大丈夫だと、信じた。