神様、どれほど償えば この恋は許されるのでしょうか?
「梨佳っ!」
「……っ!」
――どこ?…ここは、どこ?
一気に立ち上がろうとした途端、目がくらむ。
すぐさま手を着いて、体を支えようとしたけれど、
「梨佳っ」
すでに、抱き支えられていることに気付く。
「…は、…はあ…は、ぁ」
「大丈夫、ゆっくり息してろ、次で降りる」
――大河…?
体が思うように動かない。
視界に飛び込んできた風景に、まだ電車の中だったことに気付く。
――ああ、病院の帰り……
――今のは……なに?
わからないまま、とにかく息を整えようと必死で深呼吸を繰り返す。
伝わってくる大河の体温。
ドクン…、ドクン…
大河の心臓の音。
その鼓動に会わせるように、梨佳の心拍も落ち着きを取り戻し始める。
「大河…ごめ…」
「しゃべんなくて、いいから」
ギュウッ……
梨佳は、痺れている指先に力を込めると、
目の前にある大河の服を握りしめた。
――お願いこのまま…、もう少しだけ、このままでいて……
また、意識が薄れていく。
夢の中に引きずり込まれる。
その、恐怖に梨佳の体が小刻みに震える。
――お願い、大河…、抱きしめていて…
――私が…どこかに消えてしまわないように……