神様、どれほど償えば この恋は許されるのでしょうか?
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「……?」
呼ばれた気がして、振り返る。
「凪紗っ」
――私?
「お前なぁ、勝手に生物室に入って備品をあさるなよ」
「わたし?」
「いま、目の前で、アルコールランプ使ってトースト作ってるのは、誰なんだ?」
「わたし…、凪紗って名前だった…?」
「…はあ?どうした、どこか具合でも悪いのか?変だぞ、お前」
なんだろう、なんだかものすごい違和感がある。
――ここは、どこ?
どこだっけ……
ああ、そっか生物室だ。
今朝は母親の機嫌が特に悪くって、慌てて家を飛び出してきたから、朝食抜きで、お腹がすいちゃって……
「いま、何時?」
焼きあがったトーストにヨーグルトをのっけて食べる。
おいしいかと聞かれると、まあ微妙なんだけど……
昨日も夜ご飯食べれなかったから、これはこれでよしとする。
「もうすぐ8時だよ。…ていうか、お前、それさぁ、実験用の乳酸菌で作ってたヨーグルトか?」
「先生も食べる?」
「いや、いい。だって、めちゃくちゃ酸っぱいじゃん、ソレ」
「今回は、乳酸菌の量を加減したから、結構いい感じなんだけどなぁ…」
先生ってば、酸っぱいの苦手なんだね。
信じられないって顔して、わたしが食べるのを見てる。
ちゃんと、わたしが食べ終わるのを、待ってくれてる。
――ありがとね、先生……
ほんの少しだけ、心が充たされていく気がする。
うれしくて、暖かいきもち……
なんだかちょっと、得した気分。