神様、どれほど償えば この恋は許されるのでしょうか?
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小学3年生の夏に発症した梨佳が、入退院を繰り返していたのは2年足らずのことで、
6年生になると、ほとんど自宅には戻れなくなるほど、病状は悪化していた。
卒業式には出られなかったので、同級生数人と教師が卒業証書をもってきた。
中学は病院の院内学級に通うことになった。
そうなると、新しい生活に慣れ始めた同級生たちは、パタリと会いに来なくなる。
そもそも、友達だったかすら怪しい。
おそらく、クラス委員か何かだったのだろう。
でも、たった一人、週に1~2度、必ず会いに来る男の子がいた。
大河だった。
加奈子が梨佳に初めて会ったのは、ちょうどその頃だ。
今から4年前、看護師になって1年目の春。
梨佳がまだ14歳の時だ。
――人形みたいな子……
そう思ったことを、加奈子はよく覚えている。
日に当たった事のない白い肌、華奢な体、大きな目を縁取る長いまつ毛。
見た目だけではない。
梨佳は人形のように従順な、いわゆる“優秀な患者”だった。
多少頑固な一面があるものの、そんなものは誰にでもある程度のもので、
梨佳が自分勝手なわがままで、誰かを困らせたりしたところを、加奈子は見たことも聞いたこともなかった。
入院している小学生達に勉強を教えたりと面倒見もいい。
自分の病気にも負けず、いつも笑顔を絶やさずにいた梨佳の事を、とかく周囲は評価したけれど、
加奈子はあまりにも出来すぎた子供として、正直なところ苦手と感じていた。
特に、何があっても同じように見える梨佳の笑顔は、あまり好きではなかった。
そんなある日、デイルームから聞こえる大声に、加奈子は耳を疑った。