神様、どれほど償えば この恋は許されるのでしょうか?

「本当に、他に症状はないんだね?」

「うん」

「でも、今日はホルター着けてってね。それと何か違和感が出るようなら早めに連絡すること」

「……はぁい」


そう返事はしたものの、どうせそんな検査に意味はない。
そもそも寝不足といっても“眠りたくない”だけで、“眠れない”わけじゃない。

理由は簡単。

最近、変な夢を見る。
それが、嫌で寝付けない。


「梨佳ちゃん、私も検査室にいく用事があるから一緒に行こうよ、ね?」


加奈子は梨佳に声をかけると、同時に大河を見据える。


「あんたは付いてこなくていいからね、大河。女子のハナシがあるんだから」

「女子って…、加奈子さんもう三十路じゃねぇの?」

「まだ28よ!あんた達は二人して、どおしてこうも女心がわかんないかなぁ!こんなやつら放っといて行こっ!梨佳ちゃん」


半ば強引に梨佳を診察室から連れ出すと、
加奈子は高橋を心底呆れた表情で睨み付け、扉を叩き閉めた。

バタンッ!


「はは、大河を利用したの、さすがに加奈子ちゃんにはバレたか~」


肘掛け椅子に座ったまま、高橋は両手を上げて背伸びする。
こった背筋を伸ばしながら、チョイチョイと大河に向かって手招きをし、先ほどまで梨佳が座っていた椅子を指差す。

大河がそこに座ったことを確認すると、


「ま、検査は念のためだよ」


と、人懐っこい笑顔を浮かべながら、
くるりと椅子をむき変えて、真正面に大河を見据えた。

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