一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
「ねぇ、よく聞いて。
自分の気持ちを、正直に、相手に伝えることができる時間は限られている。

今は、社長が傍にいるからわからないかもしれなけど。
素直になった時にはもう遅いかもしれないわ。

確かに、社長が御曹司だからって近づいてくる女は五万といるわ。
私にあからさまな敵意を向けてくる子もいるし、私を引き込もうと躍起になる子だっているくらい。

でも、社長が御曹司だからって、それだけの理由で跳ねのけているあなたが、彼女たちのことを悪く言うことができる?
社長自身をちゃんと見ていない、っていう意味ではあなたも同じよ。

自分の気持ちに、正直になってみて。」



私は今まで、何を見ていた?

誰と一緒に過ごしていた?


”大富豪の御曹司”
”大企業の社長”

彼が本を出したと知ったあの時から、そんなフィルター越しにしか、彼を見ていなかった。

母子家庭だから、特待生だからと、
それだけで自分の存在を決めつけられることの理不尽さは十分に分かっているはずだったのに。

社長だから、
女を侍らせている、みたいなイメージを勝手に作り出していた。
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