一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
上階に向かい、社長の家の玄関の前へ。

鍵を使って、自分で入るのは初めてだ。
いつもは、コンシェルジュから連絡を受けた石田さんが開けていてくれたから。

開錠してドアを開けても、家の中は静まり返っていて、
社長がいるのかどうかもわからない。


昨日ここを飛び出してから、まだ一日も経ってないのに。
またここに戻ってくることになるなんて。

スリッパの音を立てるのも申し訳ないような静かさに、
靴下のまま廊下を進む。

書斎も寝室も扉が閉じられている。

まずはリビングを確認してからかな、と先へ進むと
社長が、いた。


リビングのソファーに、膝を抱えて座り、
瞳は閉じられている。

石田さんが言った通り、頭にはヘッドホン。

持ち歩きには不便そうな、大きいな丸型のもの。
きっと、音も大きく出るんだろうな。

呼びかけても、きっと聞こえない。
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