一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
堰を切ったように、私の瞳から涙が溢れだした。

懐かしさなのか、嬉しさなのか、安心感なのか。
自分でもよくわからないけれど。

彼が、さぁーちゃんと呼んでくれた、
ただそれだけで。

もう意地を張る必要もなく
世間体も気にすることなく

何も知らなかったあの時のままで、彼と向き合える。

ソファーの後ろに立ったままだった私は、
一気に足に力が入らなくなり、その場に座り込んだ。

「さぁーちゃん!?
どうしたの?大丈夫?」

彬くんが慌てて駆け寄って、私の肩を抱いてくれた。
私はその彼の腕を、思い切り抱き返した。

「・・・彬くん―」
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