一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
目が覚めたら全てが夢だったんじゃないか、
なんて期待はしていなかったけど。

昨日の服装のままの自分。
ベッドの脇に転がる鞄。

全てが、昨日のことは現実なんだと語っている。

時計を見ると、朝5時。
起きるにはまだまだ早いけど、目が冴えてしまった。
お風呂にも入りたいけど、体が動かない。

「家、出て行かなきゃって言ってたなぁ・・・。」


昨夜の記憶が蘇る。

ベッドに横になったまま、家の中を見回す。

古いし
狭いし
とても自慢になるような家ではないけれど
凝ったDIYとか改装もできないけれど。

それでも、片付けてはいるし、
清潔にもしているつもり。

20年以上、ここで生活してきた。
落ち着ける空間でもあるのに、どうしてそれを、こんなに急に奪われなければならないのか。

退去手続きは進めてあると言っていた。
今から大家さんに連絡したら撤回してもらえるかな、と思ったけど、
きっとまた、お金を積んで大家さんも味方につけているに違いない。
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