一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
地下の駐車場からエレベーターで最上階の4階へ。
何でも、最上階はにあるのは豊沢社長の家のみだそう。
エレベーターにカードキーを差し込まないと4階には上がれないらしい。
派手さはないけれど、セキュリティーはしっかりしているようだ。
さすが、豊沢の御曹司。

エレベーターを降りて廊下を進むとドアが見えてきた。
石田さんが、エレベーターの時と同じようにカードキーを差し込んで開錠し、
中に進むように促してくれた。

一歩足を進めると、自動で明かりがついた。
照らし出された玄関は、とにかく、広い。

三和土に靴が出しっぱなし、なんてことはもちろん無くて。
塵一つ落ちていない。

後ろから入って来た石田さんが、クローゼットのような大きさの靴収納からスリッパを出してくれた。
スニーカーを脱ぎ、スリッパに履き替える。
むしろ、このスニーカーもどこかへ隠して見えないようにして欲しいと思うくらい
この玄関は不釣り合いだ。

ふかふかで、落ち着かなくて歩き方がぎこちなくなりながらも、石田さんの後についていく。
いくつものドアの前を通り過ぎてから、突当りの部屋へ通される。

そこはリビング。
そしてアイランド型のキッチン。
部屋の2面は広いバルコニーに面している。

キッチンの横には食卓テーブル。
バルコニーに面していない壁側にはソファーとローテーブル。
どれもダークブラウンを基調としていて、落ち着いた印象がある。
家具は必要最低限の主義なのか、広い部屋がさらに広く感じられる。

「お疲れでしょう?お掛けになってください。」

リビングの入り口で突っ立っていた私に、石田さんが声をかけてくれた。
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