一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
社長はローテーブルにタブレットを置くと、

こっちへ来い、と
目で私を呼んだ。

ソファーへ向かい、社長と距離を開けて座る。

もっと近くへ、と目が言っているけれど
そこは無視させてもらう。

「大胆なやつだな。」

「えっ?」

「俺の指示に歯向かうやつなんて初めてだ。」

そりゃ、大富豪の御曹司だもんね。
周りにいる人たちはみんな、彼の一言に戦々恐々としているに違いない。

「やっぱり紗良は変わらない。」

もたれていたソファーから身を起こした社長が手を伸ばし
私の頬にそっと触れた。

指先で優しくゆっくりと撫でられると
ぞくり、と背筋に電流が走ったように
見てわかるくらい、びくんと体が跳ねてしまった。

「・・・感じているのか?」

耳元で囁かれてたその声は優しくて
社長の顔が見えないのもあって、彬くんの声を思いだす。

ダメだ、流されそうになってしまう。
理性を保たないと。
間違っても、もっと、なんて言ってしまわないように。

そう決意した時その時。


「お食事の用意が整いました。」

神の一声、再び。
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