一途な２人 ～強がり彼氏と強情彼女～

私の言葉に驚いたように、社長が顔を上げた。

「あぁ、頼むよ。」

キッチンに向かうと、昨夜使った食器も含めてきれいに片付いていて、しばらく使ったような形跡がない。
社長はまだ朝食を摂っていないのだろう。
石田さんも、付きっ切りでここにいるわけではないらしい。

忙しそうな社長に度々声をかけるのはためらうけど、何より私もお腹が空いているので思い切って聞いてみた。

「あの・・・朝ごはん、作りましょうか？」

「あぁ、頼むよ。」

私は意を決して聞いたのに、返事は素っ気なくて生返事のようだった。
もしかして聞いてないんじゃないの？と疑ってしまうくらい。

昨夜はあんなにも熱心に愛情を示してくれて、
私なんて不覚にもときめいちゃって眠れないくらいだったのに、
今はその片鱗もない。