一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
社長の隣にそっと座ってみた。

その反動で社長の体が少し揺れてしまったけれど、起きる気配もない。
よっぽど疲れてるのかな。

社長は下を向いているから、寝顔は良く見えないけれど、前髪は下ろしていて
寝ていると普段醸し出しているような威圧感が感じられないので、別人のように見える。
彬くんそのもの。

大好きだった彬くんが現れて、
結婚したいと言ってくれている。

願ってもいないような展開なのに、
それを素直に受け入れられないのはどうしてだろう。

自分でも自分が分からない。

「ん・・・・」

身じろぎした社長がゆっくりと動き、目を開けた。
まだ眠たそうな顔だけど、2,3度瞬きをしてから顔を私に向けた。
つい彼の動きを見つめてしまっていた私は、目を逸らすことが出来なくて、
目が合った。

「紗良。」

後頭部を何かで支えられて、
それが社長の手のひらだと気づいた瞬間

「紗良・・・。」

彼の胸に押し付けられていた。
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