一途な２人 ～強がり彼氏と強情彼女～

１時半丁度にインターホンが鳴り、豊沢グループが経営する百貨店の外商社員が３人、大荷物を抱えてやってきた。
３人とも女性。

私も百貨店の店舗に勤務しているから、外商社員と関わることは少なくない。
中には、わがままな顧客に振り回させるイライラをこちらにぶつけてくるような外商社員もいて
嫌な思いをすることもある。

彼女たちもやや緊張している面持ちだけれど（グループの御曹司相手だから当然かも？）
1人は私達と同世代、他の2人は40代かな。
皆、やり手そうな雰囲気を纏っている。

社長の買い物には興味もないし、私が見ても価値もわからないので、お茶の用意をしている石田さんの手伝いに行こうかな、と席を立とうとすると、

「紗良、君のだ。」

社長に引き止められた。

私のって、まさか…。