臆病な背中で恋をした
 あれから2ヶ月。
 自分と知り合いだってことは内密にして欲しいって亮ちゃんに頼まれたから、誰にも漏らしていない。
 おばさんや、うちの家族にも云わないでくれって。・・・そう頭を下げられた時は、悲しかった。なんか。

 たまに社内ですれ違うことはあるけど、今日みたいなイレギュラーな出来事でも起きない限り、名前で呼んだりおしゃべりも出来ない。今どこに住んでるとか、連絡先も何も分からないし、教えてももらえない。

 少し変わったね・・・・・・亮ちゃん。

 ココロがきゅっとなる。昔からオトナっぽくて、元気にはしゃいだりするようなタイプじゃなかったけど。それでも。もっと笑顔を見せてくれたし、あんな冷めた顔をするお兄ちゃんでもなかった。

 前みたいに、明里って笑いかけてくれる亮ちゃんには・・・もう会えないのかな。もう。ただの昔の知り合いってだけで、妹でも何でもなくなっちゃったのかなぁ・・・・・・。


 自分のデスクに戻りパソコンで書類を作成しながら、酷く寂しい気持ちが滲んでしょうがなかった。




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